アマボクシングのドン・山根会長は「北朝鮮と一緒」

かつて山根会長(左)に仕えた澤谷氏。中央は赤井英和   日本ボクシング連盟が助成金の流用や試合の判定などで不正を行っているとして、日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会などに告発状が出された問題は収束の気配を見せない。同連盟の山根明会長(78)の私物化ぶりが次々と明らかになる中、山根会長の元側近で近畿大学前ボクシング部総監督の澤谷廣典氏(55)が、さらなるアマチュアボクシング界の「ドン」の裏の顔を暴露した。渦中の山根会長は“雲隠れ”を続けている。   山根会長が主導した審判不正や選手の将来を左右してきた実態を、澤谷氏は本紙昨報で明かしたが、山根会長による同連盟の私物化は、これだけにとどまらないと訴える。   その権力をかさに着て、連盟内の人事もやりたい放題だったという。特に澤谷氏が疑問視するのは、2016年のリオ五輪で公式トレーナーを務めた医療系専門学校の理事長のA氏と、昨年のAIBA世界ボクシング選手権で日本代表チームの監督を託されたB氏だ。  「Aさんとは3回ほど会合でお会いしたが、山根はいつも下座に座ってね。そんなこと他にないから、カネでも借りてんちゃうかと思いましたよ。それと、山根は初めての方と会うと『近大の総監督でワシの“息子”や』と僕を紹介するのに、なぜかしてくれなかった。『澤ちゃん、俺もちょっとええスポンサーできた』とは言うてましたね。結局、誰か分からんまま、広島でリオ五輪の総会があったんですけど『選手、スタッフ、役員を紹介します』と言われて、Aさんが公式トレーナーとして登壇したんですよ。関係者全員『誰や誰や?』って大騒ぎですよ」   本来、トレーナーは選手の所属先の人間が付くという。今回、助成金不正問題に巻き込まれた成松大介(28=自衛隊)も、自衛隊のトレーナーが付くべきところだけに「トレーナーは『俺が触ってる選手なのに行けないなんて…もう辞めます』って悔しがってましたよ。トレーナー業界の人間にも、Aさんを知ってる人はいなかった」と異例の人事に疑問を呈した。   一方、B氏についてはこう語る。  「僕は赤井英和さん(俳優、元プロ選手)の近大ボクシング部の再建を手伝ってたんですけど、B氏は赤井さんの親戚と偽って悪さしとってね。それが赤井さんの耳に入って『俺の前に二度と出るな』と怒ったんです。そんな人間だから山根には『気をつけてくださいよ』と伝えたんですけど、B氏は山根に100万円をポンと寄付した。寄付はちゃんと発表もされてます。それで、いきなり奈良県ボクシング連盟の副会長になったんですわ」   前出の通り、日本代表監督を務めるまでになったB氏だが、ボクシングの指導歴などが不明なことから、ボクシング界では「何者?」といぶかしがる声も上がっていた。   澤谷氏は「そんな人間を登用するようになってから、山根は変わってしまいましたね。2人はその後、連盟の理事にもなったんですよ」と嘆いた。   澤谷氏の証言通りなら、山根会長はカネの力で人事を差配していたことになる。山根会長とカネについて、澤谷氏は「本当に細かいですね。以前は本当にカネも持ってなくて、僕もよく工面してあげてましたから」としたうえで、15年に台湾で行われた「台北市カップ」遠征を振り返る。  「連盟の審判員を2人連れて行ったんです。2人は台北の連盟から日当をもらったんですが、山根と僕のところに来て正座して『会長のおかげで連れてきていただき、日当もいただきました。これは会長にお渡しします』と100ドル(約1万2000円=当時)ずつ渡そうとしたんです。山根は『それはお前らが使えばいい』と言ったので、『ええとこあるなぁ』と思ってたんですよ。すると翌日に、ある理事が『(山根会長が)昨日の100ドル、私に回収してこいって言うんです』と言うてきた。最終的に山根はその2人を街に連れ出して、700ドルのかばんを買わせてましたよ」   山根会長の裏の顔を赤裸々に明かした澤谷氏。ここまで権力を持つことになった背景については「ボクシング連盟の9割以上は、高校・大学の教員、職員が占めている。そういう方々は、口を出すとクビを切られ、生徒に害が及ぶという負の連鎖が働いている。実際に処分されている人間もいて、北朝鮮と一緒。そうした中で権力が独り歩きしていって、そこに腰ぎんちゃくが現れた。それでますます増長したんじゃないか」とみている。   入院し姿を見せない山根会長。ウミが出される時は来るのか。