W杯スタジアム建設に北朝鮮人労働者 安価で過酷な実態

サッカー・ワールドカップ(W杯)が幕を閉じたロシア。サンクトペテルブルクでの新スタジアムの建設作業には、北朝鮮人の労働者も関わっていた。はるか6千キロ以上離れた異国の地。安価な労働力として使われ、収入は本国へ送られるという。その実態を探った。
 バルト海を望む真新しいスタジアム。1年前に完成したばかりの巨大施設を前に、建設を担当したピョートル・マクサコフ技師長は言った。「確かに、ここで北朝鮮人が働いていました」
 地元ジャーナリスト、アルチョム・フィラートフ記者によると、工期末の迫った2016年秋ごろから100人以上の北朝鮮人労働者が建設に加わったという。1人が心臓発作で死亡。過酷な労働環境にあると報道され、国際サッカー連盟(FIFA)も調査に乗り出した。
 工事は昨年に完了した。だが、まだ北朝鮮人労働者が働いている現場が近くにあると聞き、取材に訪ねた。スタジアムから車を30分ほど走らせた、サンクトペテルブルク郊外。巨大な住宅団地が次々と建設されている。組み立て中の鉄骨の上に、蛍光色のベストを着た労働者の姿が見える。アジア系の顔をした褐色肌の男たちが目立つ。
 現場監督の男性に尋ねると、「ここでは15人の北朝鮮人が働いている」。1日3交代で働いているという。建設現場内に建てられたコンテナ内に住み、自炊して生活しているという。
 偶然、近くのスーパーでヘルメット姿の中年男性を見かけた。「ノースコリア?」と尋ねると「ダー(はい)」。さらに「アンニョンハセヨ」とあいさつが返ってきた。
 しかし、こちらが記者だとわかると何も買わずに慌てて店の出口へ。その後の問いかけにも答えず、手を振って逃げるように工事現場へと戻っていった。